子宮筋腫体験記
わたしが知っているだけで、同じ日に子宮摘出の手術を受けた人は4人いました。 順調だったのはわたしとUさんの2人でした。 手術直後に痛い痛いと騒いでいた人は、腰の疾患が見つかって整形外科へ移りました。 もう1人は術後の回復が遅いとのことで、まだ…
一日ごとに点滴の量が減り、体が軽くなっていきます。暇なときはよく、同じ部屋の患者の話をカーテン越しに聞いていました。 カーテンは視界を遮るだけで、音は通しますから、話し声はよく聞こえました。顔を合わせることはなくても、患者の病名や家族構成、…
病棟は、朝6時くらいからざわめきはじめる。 術後3日目になりました。 午前7時30分。朝食が五分粥になりました。 午前8時30分。検温、血圧測定。 「おはようございまーす」 と、さわやかに声をかけながら、看護師が重そうなカートに電子機器を積んで…
手術の翌日は、朝から快適でした。手術が終わって、芯からほっとしていました。 看護師が窓のカーテンを開けたので、外の景色が見えます。ビルの間から見える空は快晴でした。「あー。よかったー」と大声で叫びたいくらい、嬉しさがからだから湧きあがってき…
手術当日の朝、わたしは手術着に着替えてナースステーションの隣にある処置室に行きました。その日最初の手術でした。 斉木先生が来て立っていました。水を浴びたようにひんやりと清潔なたたずまいでした。 わたしは緊張しきっていました。全身麻酔や、下腹…
前日までのうだるような暑さがいったんおさまって、涼しい朝でした。 土手の緑が、風に吹かれてざわざわとうねっていました。空には分厚い雲がかかって、 駅に着いた時には雨が落ちていました。 わたしが入院した婦人科病棟は4階でした。婦人科は患者も看護…
10日後、わたしは最初の病院に帰ってきました。 MRIを抱えて、待合室で待っていました。 吹き抜けのステンドグラスから差し込む光はやわらかく、 水底のように薄暗かったです。 隣の人同士が小声で話しこんでいて、 ひとりがシャツをめくり上げておなかの…
2つ目の病院は白い高層ビルのような建物でした。 ここは産科もあるので妊婦が行き来しています。癌患者らしい、帽子をかぶった女性もいます。おまけに隣は心療内科で、待合室が同じでした。 たいていの人は黙ってソファに座っているだけですが、60代半ばの女…
病院を出て家路を急ぎながら、次に行く病院をどうやって探そうか、そればかり考えていました。街路樹も、集団で歩く学生たちもまったく目に入りませんでした。 家についたら夕方になっていました。病院を出てから電車に乗って家につくまでの記憶がありません…
「わかりました。わたし……ほかの病院を探します。先生どんな病院がいいでしょうね」 わたしは、ふざけ半分に軽く聞きました。 先生も、わたしがショックからひとまず気持ちを切り替えたと思ったようでした。 診断をいい渡すプレッシャーから解放されたとでも…
1週間後、2度目の診察のため病院に行きました。 待合室の受付カウンターには、看護師が何人もいて、患者に説明をしたり、精算書を渡したりしていました。 待合室にはビニール張りのソファが並んでいて、20人くらいの女性が静かに順番を待っていました。…
予約した病院は、ターミナル駅から歩いて数分という便利な場所でした。 10階建ての中規模の建物でした。玄関ホールの吹き抜けに青いステンドグラスがあって、落ち着いた光をおとしていました。 ここで治療したら、生理の激しい出血による貧血が治る、また…
こんな風に書くと、とてもきびしくひびいてしまいますよね。 実際には、いろんな人に支えられて入院とか手術を乗り越えることができました。 これは個人の体験ですが、同性の方々のお役に立てたらと思って、 書くことにしました。 20代から直前までの経過 …